災害はいつどこで発生するかわかりません。
在宅中や職場・学校など身近な場所で被災することを想像しがちですが、旅行中・帰省中に被災する可能性もあります。
そこで、もしもの場合に備えて旅行前・帰省前に確認したいポイントや、もしもの時の行動と、旅行の荷物に追加して持って行きたいグッズを紹介します。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・旅行に持って行きたい防災グッズ
・旅行の前に確認&準備したいポイント
・旅先で万が一災害に遭ったときの行動や注意点
目次
旅行の防災の大切なポイント3点
まさかこれから行く楽しい旅行・帰省中に、災害に遭うとは多くの人が思っていないと思います。
しかし、日本ではいつでも、どこでも地震が起こるリスクがあります。さらに大雨、台風などの水害も増加しています。
実際、2024年の元旦には同じく能登半島地震で多くの方が犠牲になり、また2024年8月のお盆直前には、内閣府より南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されました。
もしも現地や移動中に被災したら…旅行が予定通りいかなくなったら…という事態に数日間対応できるよう、いつもの旅行準備にすこしプラスの行動&持ち物で、防災対策をしてみましょう。
(1)災害にも大きくわけて2種類ある
自然災害、といってもその種類は多く、大きくわけて2種類に分類されることがあります。
・警告性災害:大雨や大雪のように行政から警告のでる災害。進行性災害とも呼ぶことも
・突発性災害:地震や火山噴火のように突然起こる災害
旅行や帰省の点で考えると、「警告性災害」は天気予報や季節で事前に予測ができるため、旅行計画の一部変更や強行突破など、考えることができます。
一方で「突発性災害」は事前に予測ができない災害をさします。
(2)持ち物「防災ポーチ」
旅行の計画ができたら、実際に準備をしていきましょう。
どんな旅行にも持参したいのが「防災ポーチ」です。
防災グッズとひとことで言っても、その範囲はとても広いです。
準備しようにも何から一体準備したらいいか分からない、という人も多いはず。「何日分?」「どれくらいの量?」「どんな時を想定した準備をしたらいいの?」など疑問も多いと思います。
そこで、防災グッズを準備するときに知っておきたい「3段階に分ける考え方」を紹介します。
ポイント
①「0次の備え」いつも常に持ち歩く「防災ポーチ」
外出中に被災した時の備え
②「1次の備え」非常時に持ち出す「避難リュック」
避難するときに持ち出し。命を守る最低限の備え
③「2次の備え」1週間の「在宅備蓄」
被害が長期化したときの備蓄
今回の「防災ポーチ」(0次の備え)は、
日常的に携帯するもので、災害発生直後に命を守り、被災場所から自宅や避難所にたどりつくまで、数時間から一晩過ごすために必要なもの
と考えましょう。
初心者にもすぐできる防災対策!まずは防災リュック準備と無料の防災アイディア
続きを見る
初心者にもすぐできる防災対策!まずは防災リュック準備と無料の防災アイディア
(3)旅行先での行動
出発前には災害について考えていても、いざ旅先についたら楽しさのあまりつい忘れてしまう、ということもあるでしょう。旅行先に到着後、確認してほしいことが3点あります。
ポイント
①宿泊先の非常口や避難経路
②海に近い地域を観光する場合
③旅行先の天気
詳しくは第4章「旅行先に着いたらすること」で紹介します。
旅行の前に確認&準備したいポイント
(1)ハザードマップで旅行先の災害危険度をチェック
旅行計画をたてたら、宿泊ホテル・行く施設やレジャー先などそれぞれのハザードマップを確認してみましょう。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」では全国のハザードマップを見ることができます。
可能なら、各自治体のウェブサイトで災害リスクに関する情報や、避難場所・避難所も確認すると良いでしょう。
また、実家帰省の場合も、意外と自分の地元であっても、ハザードマップや過去これまで多い災害について知らないことが多いものです。よく知った土地だとしても、ここで今一度、ハザードマップを見てみることをおすすめします。
(2)交通情報や気象情報
日本気象協会のウェブサイトから長期間の天気予想を見ることができます。特に台風や大雨、大雪が多い時期に旅行を考えている場合は、こまめに天気を調べて計画を立てましょう。
例えば旅行予定期間に、「警告性災害」のように大雨や台風、大雪の予報になっていることもあります。行く期間を変更するのか、交通手段を変更するのか、検討して被害を最小に抑える努力ができます。それでもどうしても旅行に行く場合は、交通状況をすぐにチェックできるように、利用する交通機関(航空・鉄道)の情報や、道路交通情報のサイトも確認しておきましょう。
(3)おすすめ防災アプリ&X(旧Twitter)をフォロー
災害発生時の情報は超重要です。
災害時のときだけ閲覧するのではなく、普段から使ってみることが大事です。
①おすすめ防災アプリ
メジャーなアプリは
アプリを入れるだけではなく、操作してどのような情報を得られるのか確認しておきましょう。
また、地域を複数登録することができるので、「自分の住む地域」の他に、「旅先の地域」や「実家」などを登録しておくことで、防災情報がでたときに遠方からも確認することができます。
②防災情報のX(旧Twitter)をフォロー
公的機関、自治体や防災課などのX(旧Twitter)もフォローしておくのもおすすめです。
SNSで災害のときに強いといわれているのがX(旧Twitter)です。
地震速報や防災情報を発信している公的機関や、自治体や防災課のアカウントをフォローしておきましょう。
ただし、情報が早い一方で、デマやフェイクが多いというデメリットもあるので、信頼できる情報を見極める力をつけておきたいものです。
旅行に忘れずに持っていきたい!「防災ポーチ」
防災ポーチとは、
ポイント
日常的に携帯するもので、災害発生直後に命を守り、被災場所から自宅や避難所にたどりつくまで、数時間から一晩過ごすために必要なもの
ここで一度、防災グッズを準備するときに知っておきたい「3段階に分ける考え方」を紹介します。
①「0次の備え」いつも常に持ち歩く「防災ポーチ」
外出中に被災した時の備え
②「1次の備え」非常時に持ち出す「避難リュック」
避難するときに持ち出し。命を守る最低限の備え
③「2次の備え」1週間の「在宅備蓄」
被害が長期化したときの備蓄
【防災ポーチリスト】女性に必要な持ち歩き用|仕事や外出時に災害が起きたら?
続きを見る
【防災ポーチリスト】女性に必要な持ち歩き用|仕事や外出時に災害が起きたら?
(1)防災ポーチ
防災ポーチといっても、普段から持ち歩いてるポーチに入っているものが多いです。そこに、防災用に「ちょい足し」するイメージです。
<メモ&コピー類>
- パーソナルカード(または家族や知人の写真&連絡先を書いたメモ)
- 身分証明書:コピー
- お薬手帳:常備薬のページをコピー
- 母子手帳:コピー(「出産の状態」「乳幼児発育曲線」「予防接種の記録」のページ)
→メモ類&コピー類は濡れないようにビニール袋などにいれておくと◎
<「いつものポーチ」に足すもの>
- ミニライト
- ホイッスル(防災用がオススメ。もしすぐに手に入らなければ普通のでも◎)
- 携帯トイレ(1~2回分。片手で持ってできる小便用タイプをイメージ)
- アルミブランケット(エマージェンシーシート)
- コンパクトレインコート
- メガネ、補聴器など
- 旅行先周辺のハザードマップ
<「いつものポーチ」やカバンに入っていることが多いもの>
- 現金(小銭)
- モバイルバッテリー&充電用ケーブル
- ボールペン&メモ帳
- 常備薬
- 救急用品(ばんそうこう等)
- チョコレートや飴(食べなれたもの)
- 飲料水(水筒や500mlのペットボトル。いつも使ってるものでOK)
- 不織布マスク
- 水に流せるティッシュ
- ウェットティッシュ
- 生理用品
- ビニール袋(防臭タイプだとなお◎100円SHOPやドラッグストアでも売ってる)
- パーソナルカードの目的はさまざまあります。
- 親が万が一怪我などで意思疎通ができない状態の場合、周囲の人に自分の情報を知ってもらうため
- 災害時に子どもがひとりではぐれてしまった時のため
- スマホが使えなくなった際、家族の連絡先が書かれているメモになる
- はぐれてしまった家族を探す際、顔写真つきで探すことができる
- 家族や知人、学校や保育園の連絡先を把握する
- 持病や薬、アレルギー、保険証番号などを記入する
旅行や帰省に関係なく、日常の生活でも、自分のおでかけ・通勤カバンはもちろん、家族の通勤カバンやランドセル、習い事バッグに入れておくことで、防災になります。
こちらの記事から、自宅でパーソナルカードを作成できます。家族分のカードを作ってみましょう。
家族分の防災用パーソナルカードを作ろう|PDF無料ダウンロード可能
続きを見る
家族分の防災用パーソナルカードを作ろう|PDF無料ダウンロード可能
(2)車で移動する場合は
普段から車に乗ることが多い人は、日頃から防災グッズをまとめて、箱などに入れて車のトランクに積んでおきましょう。
特に保存水は、可能であれば、車内が高温になる季節にも耐えられる「車載可能」な長期保存なものを選ぶと◎
「the next dekade 」耐温度域が-20℃〜80℃までの長期保存水!
詳しくはこちら
運転中に大地震が起きた時の行動5選&ママ視点で準備したい車の防災グッズ
続きを見る
運転中に大地震が起きた時の行動5選&ママ視点で準備したい車の防災グッズ
旅行先に着いたら
(1)宿泊先の非常口や避難経路
1つは、宿泊先の非常口・避難経路の確認をしましょう。もしホテルや旅館で地震・津波や火事が起こった場合は、建物内から安全に避難する必要があります。部屋・建物から外に出る経路はどうなっているのかを、必ず確認してください。
避難経路は、お部屋のテーブル・机にある冊子や、各部屋のドア内側に、地図で示されていることが多いです。
(2)海に近い地域を観光する場合
2つめは、旅先や帰省先が海に近い場合は、津波から逃げるための避難場所を必ず確認しましょう。特に津波の場合、地震発生から早くて数分で到達する恐れもあります。土地勘のない地域では特に、とっさにどこに逃げたらいいのかパニックになります。高台や避難場所を必ず確認しましょう。
(3)旅行先の天気
3つ目は、旅行先の天気を確認することです。事前に天気予報を調べていても、当日になって天候が崩れそうな場合にはあまり遠くに出かけないようにするなどの工夫をしましょう。
せっかくの旅行なので、無理をしてでも行きたいところに行きたいという気持ちもあるかもしれませんが、大雨予報なのに山や崖のような観光地へ行くのは危険です。
もし旅行先で災害が起こった場合の行動
この投稿をInstagramで見る
(1)まずは自らの命を守る行動を
基本的な行動は、日常生活で自宅や職場にいるときと同じです。地震のときは机の下で身を守る、屋外にいるときは建物から離れて身を守る、安全な場所へ避難するなど、旅行先・帰省先で災害にあった場合も、自らの命を守る行動が大切です。
落ち着いたら、土地勘のない場所のため、自分が今どこにいるのかを地図などで確認したり、ホテルやお店の人と一緒に避難したり、SNSなどで情報を収集するなどの行動を取ります。宿泊先に戻るか避難所へ行くのかなどを判断してください。近くに地元の方がいる場合には、相談をして意見や指示をもらうこともひとつです。
避難所にもしもむかう場合は、大切なことがあります。避難先では観光客や市外の人も受け入れてくれるのか確認しましょう。もし受け入れOKの場合も、気を付けたいのが「ゲスト」の意識を強くもたないことです。他の土地から来た人であっても、地元の方との協力が不可欠です。自ら情報収集し、自分にできることを探しましょう。無事に家に帰るために助け合う事が必要です。
(2)宿泊先にいる場合
もし、ホテルや旅館などの宿泊先で災害に遭った場合は、スタッフの指示に従い避難をします。建物内が危険であれば、避難誘導をしてくれます。安全であればその場で待機ということになりますので、慌てて勝手に外に出たりすることのないよう、落ち着いて指示を待ちましょう。
(3)海にいる場合
海の近くで災害に遭った場合は、すぐに海岸を離れ高台をめざします。大雨なら高波や高潮の影響が心配で、地震の際は津波が来る可能性があるからです。防災無線などでの指示が出たり、地元の方についていってとにかく海から離れましょう。
(4)山にいる場合
登山やハイキングの初心者の場合、大雨や大雪などの警告性災害の予報がでているのなら、そもそも計画を延期・中止にすることも大切です。
登山中にをしているときに噴火や地震が起こったら、噴火、崖崩れや落石、なだれなどさまざまな被害に注意する必要があります。避難となると、山を降りることに必死になってしまいますが、落石などの際は下ではなく横方向に逃げるようにしましょう。災害の状況により、留まるか避難するかなどを判断するようにしてください。
体験談:南海トラフ臨時情報で出発直前に旅行をキャンセルした話
(1)ずっと楽しみにしていた旅行
2024年夏。わが家は西日本方面へ旅行する計画をしていました。半年以上前に計画を立て始め、子どもたちも夏休みの最大イベントとしてとても楽しみにしていました。
(2)2024年8月 南海トラフ地震臨時情報が発表
そんななか、8月8日(木曜日)午後4時43分頃の日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生しました。これを受け、気象庁は次の巨大地震に注意を呼びかける「南海トラフ地震臨時情報」(巨大地震注意)を発表しました。
旅行に行くほんの数日前の出来事で、テレビのニュースを見ながら、これまで経験のしたことのないような巨大な地震や津波が日本を襲うのかもしれない…と怖くなりました。
NHK 「南海トラフ地震臨時情報」どうとらえた?どう対応すべき?
(3)行く選択肢も考えた
ずっと楽しみにしていた旅行。しかもこの機会でなければ、もう一生会えないかもしれない人たちにも会う約束もしていました。
出発までもう時間がなく、家族で緊急で会議をし、結論「旅行は取りやめる」決断をしました。
けれども、この決断をする前には、「行けるものなら行きたい」の気持ちが大きく、行く選択をした場合の追加の荷物や、観光地の避難場所・避難所やハザードマップを調べたりしていました。
(4)行かない決断をした理由
万が一の時用の持ち物追加と情報収集で、もし旅先で被災した場合も影響を少しでも減らせるかもしれない、と考えはしましたが、やはり「行かない決断」をしました。
今回わが家が旅行を中止した大きな理由は
・万が一旅先や移動中に大きな地震がおきたら、子どもたちに怖い思いをさせてしまう
・大きな地震が起こる可能性が、自宅地域よりも高いといわれている場所へ、行くのが怖いと感じた
・万が一旅先で大きな地震が発生した場合、土地勘のない場所で被災してどこに逃げるのか、避難所はどこなのか、わからないし怖いと感じた
旅行キャンセルは悔しい思いをしましたが、「なにも起こらなくて空振りになるくらいがちょうどいい」という気持ちが一番強かったです。改めて、旅行時になにを持っていくのか、どう行動するのか、本当に旅行に行くと決めて後悔しないか、家族で真剣に考える機会となりました。
まとめ
旅行先では土地勘もなく、頼れる知人もなく、持ち物も最低限のものしか入っていません。帰路につくための交通手段も止まり、仕事や学校への連絡なども。被災した場合はいつも以上に不安な状況になりやすいです。旅行中の不安をできるだけ小さくするために、出発前にできる限りの対策をしておくと良いですね。
(りんごママ)