近年頻発する自然災害。地震や台風、大雨などに連動して起こるのが停電です。また、自然災害以外にも、機器の故障、人為的なミスなど、さまざまな要因があります。
そう思っている人は本記事必見です。
停電対策でなにを準備したらいいのか、買い物に行く前に全体像を把握しましょう。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・停電したら困ること
・停電に備えておきたいグッズ【照明・電源】
・断水に備えたいグッズ【断水】
・停電・断水時どうやって料理する?【調理系備品】
停電したら困ること5選
ポイント
①冷蔵庫が使えない
②冷暖房が使えない
③照明器具が使えない
④携帯電話の充電ができない
⑤調理器具(コンロ・レンジなど)が使えない
ひとつめは『冷蔵庫』。
食品や食材を冷蔵・冷凍するためのものですから、特に暑い夏の時期に停電したことを考えると、生ものはすぐに痛んでしまいます。
ふたつめの『冷暖房』は、近年の酷暑レベルの夏に停電したら…また、冬も特に関連地方で停電したら…など過酷な状況になることが予想できます。
また、地震や台風発生後の台風は、1日や2日ですぐに復旧するとは限りません。
ちなみに、1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災では、電気→水道→ガスの順番で復旧しました。
具体的には、東日本大震災では電気は6日後、水道は24日後に復旧しました。
約3週間も水がなく、洗濯ができない状況が続くと、特に夏場は困りますね。長期間洗濯ができない場合にどうしたらいいか、知っておくことが大切です。
参照:NHK防災・復興 明日をまもるナビ「首都直下地震 復旧にかかる日数は?」
備蓄品はこれが必要(知る防災) - 日本気象協会 tenki.jp
さらに、『照明器具』が使えないとなると、特に夜間での生活が不自由になります。ランタンや懐中電灯、ヘッドライトなどがあったとしても十分であるとは言えません。リビング、トイレ、キッチンなど家族の人数が多くなればその分準備が必要です。なお、余震が続く状況下でロウソクを使って明かりを確保するのはおすすめできません。火災の危険があるからです。この記事を読んで、前もって準備ができる今、懐中電灯やLEDランタン、両手があくヘッドライトなどを準備しましょう。
停電に備えておきたいグッズ【照明・電源】
ポイント
①ランタン
② ヘッドライト
③足元灯(自動点灯照明)
④ モバイルバッテリー
⑤ 電池
⑥ ポータブル電源(蓄電池)
①ランタン
ランタンとは、吊り下げたり下げたりして使用する小型の照明器具のこと。
乾電池や太陽電池のほか、灯油やランプオイルなどの液体燃料を使用するタイプもあります。
手持ちの懐中電灯のほか、吊り下げたり机や床、棚に置いて使える照明があると、在宅避難中や体育館等の避難所にいった際にも便利です。
火災の二次災害を生まないためにも、灯油などではなく乾電池式がおすすめです。
未だに、照明の防災グッズとして紹介されていることもあるロウソクですが、使用は極力控えましょう。地震の場合、余震でロウソクが倒れることもあります。余震だけでなく、ふとした瞬間に倒れたら火災という二次災害に繋がる可能性もあります。
②ヘッドライト
避難する際ももちろんですが、家の中で移動するときや、なにかしら家事や作業をするときに懐中電灯だと片手がふさがってしまいます。
ヘッドライトなら両手を自由に使えるため、子どもと手をつないだり、物を運ぶときにも便利です。
③足元灯・自動点灯照明
夜間に被災すると、停電により目の前がまったく見えなくなります。暗い場所での避難行動は、ガラス破片などを踏んでしまうなど大変危険です。
特に足元灯・自動点灯照明は、地震が発生して揺れがおさまってから、手で持てる懐中電灯を探しに行く際に周囲を照らしてくれます。
④ モバイルバッテリー
地震発生直後は、スマートフォンでインターネットを使えなくなることが多々ありますが、それでもスマホの充電は非常に重要です。
ネットが使える状況であれば、情報収集はもちろん、家族・友人と安否確認を取るのにモバイルバッテリーは必ず準備しましょう。
このとき、災害時におすすめは「乾電池タイプ」です。電池のストックもあわせて充実させたら、乾電池を交換して繰り返し使うことができます。
また災害時は「ファイブゼロジャパン」(00000JAPAN)という無料のLANサービスが開放されます。災害時にドコモ、au、ソフトバンクの携帯キャリアが垣根をこえて無料開放する、公衆無線LANサービスです。この00000JAPANが最初に提供されたのは2016年の熊本地震です。
もしもネットが使えなくても、電話で災害伝言ダイヤル171を使って家族/友人と安否確認することができます。
災害伝言ダイヤルについてはこちら
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⑤ 電池
ここまで紹介してきた防災グッズで共通していえるのが、「防災には乾電池タイプがおすすめ」ということです。
長引くかもしれない停電状況の生活で、一度使い切ったら終わりということにならないよう、乾電池の備蓄を充実させることをおすすめします。
特に、単三電池と単四電池を使う頻度が高くなるであろうことから、多めに準備しておくとよいでしょう。
ただし、電池には使用期限があるので、定期的に防災グッズの見直しをしましょう。
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⑥ ポータブル電源(蓄電池)
万が一停電・在宅避難生活が長期化した場合、あらかじめ充電満タンにしておいたモバイルバッテリーや乾電池式充電器でも足りなくなることがあります。
そこで別途準備したいのが、『ポータブル電源』です。在宅避難で役立つだけでなく、車中泊にも車で電気が使えて便利です。
決して安くはないですが、家族で検討して予算をまわせるようでしたら考えてみてください。
停電による断水に備えたいグッズ【断水】
停電が起きた際には水道が止まる場合もあれば、通常通り使える場合もあります。
停電しても、大規模災害や事故などのまれなケースを除き、低層の戸建て住宅や集合住宅では、浄水場や給水管に支障がなければ断水することはありません。ですが、マンションやビルなどのポンプ設備が停止した場合に発生することがあります。
ただし、大規模災害の場合は停電の有無関係なく断水する可能性があるため、断水対策グッズも備えておきましょう。
①からだふきシート
たとえ断水していなくても、停電ではお湯を沸かせず、シャワーやお風呂に入ることができません。特に冬は、冷たい水しか出ない状況でシャワーをするのは困難です。お風呂に入れないとストレスなので、せめて体を拭けるように備えておきましょう。
② ドライシャンプー(水なしシャンプー)
からだふきシートとセットで備えたいのがドライシャンプー(水なしシャンプー)です。もし水道が使える状況でも、お湯を沸かすことができなければ、冷水でシャンプーは難しい季節もあります。
③ 暑さ・寒さ対策グッズ
停電になると冷暖房は使えません。
酷暑が続く昨今は熱中症、冬は低体温・凍傷や感染症の恐れがあり命にも関わります。
(1)暑さ対策グッズ
・冷却シート
・小型扇風機
・経口補水液など
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(2)寒さ対策グッズ
・カイロ
・毛布・ブランケット・厚手靴下
・カセットコンロ・ガスボンベ
・カセットガスストーブなど
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④ 簡易トイレ
水や食料の次に重要な防災グッズなのが、「トイレ」です。
空腹はがまんできても、排泄はがまんすることはできません。また衛生面の問題からも適切な簡易トイレを備えることが必須です。
ネットやホームセンターでも、最近はよく防災コーナーで簡易トイレが売られていますが、それくらいの量を購入したらよいのでしょうか。
ポイント
一般的に、人の1日のトイレの回数は平均6回〜8回と言われています。
仮に1日7回、夫婦2人暮らしで7回×7日分×2人=98回分となります。
この場合は『100回分』のセットで購入するのがおすすめです。
子どもや高齢者、妊娠中の女性などはさらに頻繁にトイレに行く場合もあります。自分のトイレの回数を数えてみることなので、ぜひカウントしてみてください。
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停電・断水時に使える調理系備品
ポイント
①カセットコンロ&ガスボンベ
②食品用ポリ袋
③ラップ
④アルミホイル
⑤クッキングシート
⑥キッチンペーパー
⑦ピーラー
⑧キッチンばさみ
⑨除菌シート・スプレー
①カセットコンロ&ガスボンベ
・防災グッズとして、カセットコンロを準備しておくことを強くおすすめします。
・電気やガスから独立した道具がないと、料理どころかお湯を沸かすこともできません。しかしカセットコンロがあれば、パウチのレトルト食品を温めたり、アルファ化米のパウチにお湯を注ぎ、15分ほど待てば美味しいごはんを食べることができます。
・また、赤ちゃんや小さい子ども、障害のある家族や要介護の家族、ペットがいるなどの事情で、なるべく在宅避難したい、という人は、ぜひカセットコンロを備えておくことをおすすめします。
②食品用ポリ袋
・手にかぶせて手袋がわりに
・調理する材料を混ぜ合わせるボウルがわりに
・お椀にかぶせて洗い物の削減
・おすそわけ容器
③ラップ
・おにぎりなどを直接触れずに作る
・お皿に敷いて洗い物の削減
④アルミホイル
・省エネの落しぶた代わりに
⑤クッキングシート
・フライパンなどの焦げ付き防止に
⑥キッチンペーパー
・ふきんやタオル代わりに
⑦ピーラー
・包丁とまな板を使わずに野菜をスライスして洗い物削減
・薄く切れるので加熱も早い
⑧キッチンばさみ
・①~⑤のものを切ったり
・包丁とまな板を使わずに材料をカット
⑨除菌シート・スプレー
・衛生確保
・手洗い用の水の代わりに
災害時の食事作りのポイント
①大切!自宅の食材はなにから食べる?
災害時、電気・水道・ガスが止まった・・・そんなときの食事作りは悩みますよね。
毎日使っているコンロや電子レンジも使えない。
そんなときに最初に思いつくのは、備えていたアルファ米や長期保存パンなどの「非常食」ですよね。
でもちょっと待ってください!
「非常食」に手をつける前に、優先して食べるのは「傷みやすいもの」からです。
推奨!災害時に食べるのはこの順番!
ポイント
(1)冷蔵庫
↓
(2)冷凍庫
↓
(3)常温食材
↓
(4)非常食
(1)冷蔵庫
・冷蔵庫が停止したら、まずは日持ちしない肉・魚・賞味期限の近いもの・野菜類から食べましょう
・電気が止まってから時間が経ちすぎて、肉・魚が傷んでいるときは食べるのも控えよう!
・大切な冷気が逃げるので、こまめに冷蔵庫を開けないように注意
・加熱調理できるように、「カセットコンロ」「ガスボンベ」はマストで準備しよう
(2)冷凍庫
・食べるために溶けたほうがいいものを冷蔵庫に移動する
・冷蔵庫にうつすと冷蔵庫が冷えて◎
・温める・焼くなどができるように、「カセットコンロ」「ガスボンベ」が必要!
(3)常温食材
・ふだん冷蔵庫・冷凍庫に入れていない食材に手をつけよう
・レトルト食品、ラーメン、パスタ、乾物・・・
(4)最後が「非常食」
・災害!となったらすぐにイメージするのが「非常食」ですが、これらは「最後の砦」
・もちろん、カセットコンロなどもなくて調理する環境が整わないときは、缶詰パンやアルファ米を水で戻す、などのすぐ食べられる方法を選んでOK
停電・断水・ガス停止のなかで、つい焦って非常食に手をつけたくなりますが、貴重な食材を大切にして、まずは傷みやすいものから順次食べていくのがおすすめです!
そのためにも、水の備蓄・カセットコンロ&ガスボンベ・ポリ袋調理方法などもチェックしておくことが大切ですね。
②日頃どれくらい料理してる?タイプ別の食品選びポイント
ところで、食料備蓄が大事・大事、といわれても、リストを見ても実際に災害時に食事準備できるか、なんだかしっくり来ないことありませんか?
日頃まったく料理をしない人、逆に普段インスタント類はあまり食べない人。
自分のいつもの生活スタイルや好みから、「かけ離れた食料備蓄」をしてもいざという時に食べづらいはず。
私も、一人暮らしのころは料理は全くしない、調理器具もまともにそろっていない、冷蔵庫には缶ビールと賞味期限の過ぎた調味料しか入っていない人間でした。
自分のタイプにあった食料備蓄スタイルを探してみましょう。
(1)普段から料理をする人
日頃の料理の食材をローリングストックしながら非常時にも備える!乾物や常備菜などがおすすめ。
【必需品】
・水
・カセットコンロ・カセットボンベ
【主食(エネルギー・炭水化物)】
・米
・乾麺 うどん・パスタ・そうめん・そば
・パックごはん
アレンジや時短したいときにあったら楽かも!
・インスタントの袋ラーメン
【主菜(タンパク質)】
・レトルト食品 カレー・どんぶり系
・パスタソース
・缶詰(肉・魚)
【副菜(その他)】
・日持ちする野菜類 たまねぎ、じゃがいも等
・梅干し、のり、ふりかけ
・ひじき、わかめ、切り干し大根、干ししいたけ、高野豆腐などの乾物
・野菜ジュース、果物ジュース等
・調味料 (砂糖、塩、しょうゆ、めんつゆ等)
・インスタント味噌汁や即席スープ
・ビスケットやチョコなどのお菓子
(2)少しは料理するけど、買って家で食べることも多い人
自分で加熱したり少し手を加えて食べられるように、レトルト食品多めで
【必需品】
・水
・カセットコンロ・カセットボンベ(お湯を沸かしたり、麺をゆでる用)
【主食(エネルギー・炭水化物)】
・カップラーメン
・アルファ米やパックごはん
・乾麺 うどん・パスタ・そうめん・そば
【主菜(タンパク質)】
・レトルト食品 カレー・どんぶり系
・パスタソース
・缶詰(肉・魚)
【副菜(その他)】
・野菜ジュース、果物ジュース等
・インスタント味噌汁や即席スープ
・ビスケットやチョコなどのお菓子
(3)普段ほとんど料理をしない人
【必需品】
・水
・カセットコンロ・カセットボンベ(お湯を沸かす用)
【主食(エネルギー・炭水化物)】
・カップラーメン
・パックごはん
【主菜(タンパク質)】
・レトルト食品 カレー・どんぶり系
・缶詰(肉・魚)
【副菜(その他)】
・野菜ジュース、果物ジュース等
・インスタント味噌汁や即席スープ
・ビスケットやチョコなどのお菓子
③炭水化物(米・パン・麺類)に偏りがち
災害直後は、炭水化物ばかりになりがち。エネルギー源となる炭水化物はとても重要。ですが、栄養バランスを考慮しないと、体調不良の原因に。
災害時、避難所生活や停電した自宅で過ごすなかで、タンパク質を手軽にとるには缶詰やレトルトがおすすめ。ツナ、サバ、イワシ、サンマなどの魚介缶詰をはじめ、コンビーフや焼き鳥などの肉類缶詰、ほかにはゴミが少ない点で魚肉ソーセージもおすすめです。
④便秘や口内炎などにはビタミン・ミネラル・食物繊維
災害時に特になりやすいのが野菜不足です。どうしても炭水化物がほとんどの食事に偏り、ビタミン・ミネラル・食物繊維などが不足しがちです。その結果便秘や口内炎になったという体験が多いようです。
そのためには、じゃがいも・たまねぎ・かぼちゃなどの日持ちする野菜を、日頃から多めにストックしておくことをおすすめします。また、自宅に家庭菜園ができる場合は、防災も視野にいれてこういった野菜を育てたり、日持ちしない野菜であっても自宅の敷地で収穫でき、調理の食材に加えることもできます。
また、乾物のほか、野菜ジュースや果物のジュース、果物の缶詰、ドライフルーツも買い置きしておきましょう。
避難所生活ではトイレ環境が衛生的に良いとは言えず、また集団生活で混雑もし、なかなかトイレに行きづらいもの便秘の一因に。在宅避難であっても、断水で自宅のトイレが使えない場合は、非常用のトイレを使用するため、トイレからどうしても足が遠のいてしまいます。
よって、少しでも栄養に気を付けた食事を心がけることで、体調管理の助けにしたいところです。
⑤「非常食はおいしくない」はもう古い
「非常食」「備蓄食品」と聞くと、災害時に「どうしようもなくなって一時的に食べるもの、あまりおいしくないもの」と思う人もいるでしょう。
ですが最近は、長期保存のアルファ米やレトルト食品は、たくさんの改善を重ねてとてもおいしくなっています。
また、自分自身や家族の好み・食事の配慮点もかんがえつつ、ローリングストックをしながら、おいしくたべてみましょう。
まとめ
近年頻発する自然災害。家庭内で準備しておきたい停電対策グッズ。「懐中電灯だけあれば大丈夫!」と思っている人は、ぜひ見直ししてみましょう。
(りんごママ)