いつ起こるか分からない災害。
食料や水のことを優先して備蓄しがちですが、避難生活が長引くことで課題になってくるのが、洋服の洗濯です。
停電・断水するなかで、洗濯は手洗い?水の確保は?ちゃんと洗える?夏場はどうする?・・・いろいろと疑問があがります。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・洗濯用の水が確保できない場合はどうする?
・少量の水で洗濯する方法&グッズを紹介
・災害時の洗濯問題、準備するとよいもの
目次
災害時に起こる「洗濯問題」
防災対策といえば、食料備蓄や飲料水、電気などのライフラインに目がいきがちですが、被災地の現場では「着替え・洗濯に関する需要」も非常に大きいと言われています。
・ライフラインが止まり、洗濯機を使うのに必要な水も電気も確保できない
・一度にできる量には限りがあり、手作業で少量の衣類しか洗濯できない
・洗濯をしても下着などを避難所で干すことができない
1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災では、電気→水道→ガスの順番で復旧しました。具体的には、東日本大震災では電気は6日後、水道は24日後に復旧しました。約3週間も水がなく、洗濯ができない状況が続くと、特に夏場は困りますね。長期間洗濯ができない場合にどうしたらいいか、知っておくことが大切です。
参照:NHK防災・復興 明日をまもるナビ「首都直下地震 復旧にかかる日数は?」
備蓄品はこれが必要(知る防災) - 日本気象協会 tenki.jp
水そのものが入手困難!まったく洗濯できない場合
災害時、洗濯どころか飲み水の確保がやっと・・・ということもあるでしょう。
備蓄していた水もなくなり、給水車にならんで飲み水をなんとか確保したものの、洗濯などの生活用水にまわせる水がないということもあると思います。
そんなときに、少しでも衣服を清潔に保てるよう、工夫を紹介します。
①持ち出し用防災リュックに入れる下着は3日分以上用意
②使い捨ての下着やナプキン・おりものシートを活用する
③衣類用の消臭スプレーで除菌・消臭
④着替えも消臭スプレー類もない場合
①持ち出し用防災リュックに入れる下着は2日分以上用意
持ち出し用の防災リュックには着替えも入れておくことが推奨されています。この防災リュックは、1~2日分を想定したものですが、デリケートな部分に直接触れ、汗を吸収したり肌を守ったりする下着・肌着に関しては、2日分以上用意するのがおすすめです。
子ども分、ママパパ用の分もわけて入れましょう。ママの分は、カップ付きのインナーにすると荷物が減らせ、かつ人の目もある中では比較的洗濯もしやすいのでおすすめです。
数日分の下着があれば、衛生面も安心ですし、用意している下着を使い回しているあいだにライフラインが復旧することも期待できます。
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②使い捨ての下着やナプキン・おりものシートを活用する
使い捨ての紙パンツ・綿パンツは、洗濯不要で衛生的です。例えば、2枚は通常の下着・肌着を準備し、それ以外は使い捨てのショーツにすることもアイディアです。
また、女性は生理用のナプキンも用意するでしょうが、洗濯できない場合はナプキンやおりものシートを付け替えるだけでもデリケートゾーンのトラブルを軽減できます。
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③衣類用の消臭スプレーで除菌・消臭
トップスやボトムスは体積も大きく、限られた水・場所では洗濯しにくいものです。ですが毎日同じものを着ていれば衛生的な問題はもちろん、においなども気になってくるところ。
ファブリーズやリセッシュなど、衣類用の消臭剤でしのぐのも方法です。最近は除菌成分の含まれた消臭剤も多く、消臭と除菌でにおいと衛生面を少しでもカバーできます。
④着替えも消臭スプレー類もない場合
上記①~③の準備もなく、着の身着のままで逃げることも想定されます。
ですが、何日も同じものを着用していると、徐々に汗や皮脂で汚れ、肌着には多くの菌も付着して不衛生だけでなく、汗で濡れたままの肌着を着用していると身体が冷えて体調を崩すことに繋がることも。着用していた肌着は干してしっかりと乾燥させるだけでも、違ってきます。水分を蒸発させることで菌の増殖を抑えることができます。
参考:ライオン「避難所でもできる!災害時に役立つ洗濯の仕方」
水をなんとか確保!洗濯が可能な場合
災害時、水は大変貴重です。そんななかで、なんとか水を確保できた場合の洗濯方法を紹介します。
①非常に少ない水で洗濯する場合
②少ない水で洗濯する時に役立つ便利グッズ
③ある程度の水を洗濯に使える場合
④知ってる?災害対策ランドリー
①非常に少ない水で洗濯する場合
(1)洗面器など2つ用意して手洗い
(2)重曹とポリ袋
(3)洗剤とジップロック
(1)洗面器など2つ用意して手洗い
洗面器等の容器を2つ準備して、1つを「洗い」用、もう1つを「すすぎ」用とします。水は肌着が浸るくらいの量にとどめ、汚れの少ない衣類から1枚ずつ「洗い」用の洗面器で手もみ洗いをし、「すすぎ」用の洗面器で洗剤をすすぎ落とし、絞って脱水します。
すすぎ用の水が汚れてきたら、洗い用として再利用すると節水になります。
(2)重曹とポリ袋
もしも自宅に重曹があれば、ポリ袋も使って洗濯することができます。
まず、ポリ袋のなかに重曹と水を入れ、よく混ぜて重曹水を作ります。
そこに、汚れた服を投入してもみ洗いし、最後に2回ほどすすぎ、絞って脱水したら完了です。
(3)洗剤とジップロック
1.ジップロックの袋に、水500ml(洗濯用)と少量の洗剤、洗濯物を入れます。
2.袋の空気を抜いてジッパーを閉じ、力を入れてもみ洗いします。
3.しっかりしぼり、水を袋から出します。
4.再度水500ml(すすぎ用)を袋に入れジッパーを閉じます。袋の両端を持ち、大きく何度も振ります。再びしぼりながら水を袋からだします。
5.洗濯物を干して完成です
ただし、しっかりした脱水はできないので、小さな洗濯もの(下着や靴下、肌着)などがむいています。
少ない水で洗濯する時のポイント!
・無駄な水を使わないようにコンパクトな容器を用いる
・予め洗濯物を漬け置きしておき汚れを落ちやすくする
・すすぎ水を少なく出来る洗剤を選ぶ、又は使わない。
・洗った後の水も捨てずに便器の洗浄などに利用する
②少ない水で洗濯する時に役立つ便利グッズ
(1)洗濯セット
旅行や非常時に持っておくと便利などこでも使える洗濯グッズ!防災の備品や旅行セットにピッタリです。
中には、ポーチ、折りたたみハンガー、洗濯用洗剤、洗濯ネット、衣類圧縮袋が入っています。この圧縮袋に衣類・水・洗剤を入れてもみ洗いすることができます。
(2)洗濯用バッグ
レスキューランドリー
レスキューランドリーとは、株式会社ファンクションが洗濯用に開発したバッグです。レスキューランドリーを使えば、災害時や旅行中など洗濯機が使えないときに定量の水で簡単に洗濯をすることができます。
衣類を洗うだけでなく、水を運搬するウォーターキャリーにもなります。
ZaBlu
ザブル [Zablu] は、持ち運び式の洗濯バッグです。旅行先での洗濯に大活躍!折りたためて、軽量コンパクト。旅行、出張、アウトドア、部活、防災など様々なシーンで活用できます。
③ある程度の水を洗濯に使える場合
電気は復旧していないけど、ある程度の水が使えるようになった場合の洗濯方法を紹介します。
手動のポータブル洗濯機
電気が復旧していない場合、洗濯機を動かすには手動となります。手動タイプは自動のものよりも手間がかかりますが、災害時に1枚1枚手洗いするよりも効率的に洗濯できます。ハンドルを回すだけで洗えるので、動作が簡単なのも嬉しいポイントだといえます。
④知ってる?災害対策ランドリー
「災害対策ランドリー」を知っているでしょうか?
個人の自宅や避難所で洗濯する方法やグッズではありませんが、震災時に洗濯機と乾燥機を積んだ移動式コインランドリーでボランティアへ赴き、被災地で洗濯する場を提供してくれる活動をしています。
実際に東日本大震災後には、宮城県多賀城市の総合体育館で、移動式のコインランドリーを提供し、洗濯してもできない悩みに対して支援活動をされました。
リンク:災害対策ランドリーで緊急時の洗濯ニーズに対応(株式会社TOSEI)
あとまわしになりがちな洗濯グッズも防災準備
防災用や旅行用の洗濯グッズは、他にもさまざまな商品があります。
ここで人気の洗濯バッグを紹介します。
家族が使いやすいものをひとつ揃えておくと、非常時にも安心です。
洗濯袋を選ぶポイント
【1】たくさん洗う場合には大容量を
【2】排水バルブがあると水の入れ替えもかんたん
VASTLAND『ドライバッグ』
- 正面が透明になっていて、中の様子を確認することができる
- エアバルブで空気を抜くことができ、圧縮袋としても使用可能
- バルブから水を排出できるため、脱水の際に衣類が出てくる心配がなく、手も汚れない
LOGOS(ロゴス)『シェイク洗濯袋』
- 丸めたりたたんだりしやすい素材で、収納時に楽
- 水を抜く際、バルブに衣類が詰まりにくい設計で排水がかんたん
- 衣類を入れてバルブから空気を抜けば圧縮袋としても使用可能
PIENSE『洗濯袋セット』
- 折りたたみハンガーとピンチつきロープ付き!
- ショルダーストラップつきで持ち運びに便利
- 防水加工済みでバケツ代わりの使用も可能
まとめ
いつ発生するか分からない自然災害。
防災対策といえば、食料備蓄や飲料水、電気などのライフラインに目がいきがちですが、洗濯についても少し考えてみてはいかがでしょうか。
(りんごママ)