災害時、食料や水以上に備えが重要なことは「トイレ問題」です。
特に小さな子どもがいる家庭では、衛生的で使いやすい非常用トイレの準備が欠かせません。
この記事では、非常用トイレの種類や選び方、子どもも安心して使えるおすすめ商品を詳しく紹介します。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・非常用トイレの種類と特徴
・子どもが怖がらずに非常用トイレを使う方法
・衛生面でトイレ以外に準備すべき道具リスト
目次
なぜ非常用トイレが必要なの?
防災グッズを備えるにあたり、食料や水以上に大事なのが「トイレ」です。
食べないのはがまんできても、生理現象で排泄をガマンするのは困難だからです。
大規模災害が発生すると、上下水道がストップし、トイレが使えなくなることがあります。
避難所に行けば仮設トイレがあることもありますが、数が限られていたり、衛生環境が悪化しやすいのが現実です。
また、トイレの長蛇の列に並ばなければいけない、和式トイレしかない場合は小さな子どもや高齢者にとっては大きな負担となります。
自宅で過ごす「在宅避難」の場合も、便器は無事でも停電・断水でトイレが使えないと健康に支障が出るため、非常用トイレの備えが重要だからです。
非常用トイレの種類と特徴
非常用トイレにはさまざまな種類があります。
それぞれの特徴を知り、住む地域で多い災害の種類や、避難所に行く可能性が高いのか、在宅にとどまる在宅避難を優先で考えるのか、家庭に合ったものを選びましょう。
(1) 携帯トイレ
便座に袋をセットし、凝固剤で排泄物を固めるタイプ。
受け口がついた袋を片手で持って、排泄をするタイプも携帯トイレに含まれます。
【メリット】
- 軽量で持ち運びがしやすい
- 手軽に使える
- 凝固剤を使うことでにおいを抑えられる
【デメリット】
- 排泄後に袋を交換する手間がかかる
- 使用回数に応じて袋や凝固剤のストックが必要
【使用方法と注意点】
- 便座に専用の袋をセットします。
- 使用後に凝固剤を入れて排泄物を固めます。
- 密閉できる防臭袋に入れて処理します。
- 直射日光を避けた場所にストックを保管しましょう
(2) 簡易トイレ
折りたたみ式や組み立て式の簡易トイレで、椅子型のものが多く、排泄袋と凝固剤を使います。
【メリット】
- 組み立てた便座があり、普段のトイレに近い感覚で使える
- 子どもや高齢者も座りやすい
【デメリット】
- サイズが大きめで収納スペースを取る
- 設置に少し時間がかかる
【使用方法と注意点】
- 設置場所を決め、しっかりと固定します。
- 排泄袋や凝固剤をセットします。
- 使用後は袋を取り出し、防臭袋で処理します。
- 使用後の清掃をこまめに行い、衛生管理を徹底しましょう。
(3)仮設トイレ
花火大会などのイベントでよく見る、屋外に設置されるトイレです。便器下のタンクに排泄物を溜め置き、あとでくみ取ります。
【メリット】
- 電気がなくても使用できるものがある
- 流通量が多いので調達しやすい
【デメリット】
- トラックで運ぶ必要があるため、道路等の状況によっては届かず、災害直後からすぐに使用できない可能性がある
- 外に設置するので冬季は寒い、夜は暗い
- 和式が多く、高齢者や小さな子供には負担が大きい
【使用方法と注意点】
- 紙詰まりや衛生環境の悪化を防ぐため、トイレットペーパー以外のものや必要以上のトイレットペーパーを便器に流さないようにする
- 冬場は滑って転んでケガをしないようにする
- 女性や子どもは一人で行動せず、防犯ブザーを持参する
災害用トイレの種類はどれがいい?選び方と解説!おすすめのトイレと防災備蓄
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災害用トイレの種類はどれがいい?選び方と解説!おすすめのトイレと防災備蓄
参考:災害時用のトイレの種類(日本トイレ研究所)
非常用トイレと一緒に備えるべきアイテム
非常用トイレを使う際には、以下のアイテムを一緒に備えておくと安心です。
アルコールティッシュや消毒液 | 手やお尻を清潔に保つために必須 |
ポリ袋(45リットル) | 便器にかぶせるポリ袋は、携帯トイレセットの中に入っていないことも。 スーパーやコンビニでもらうようなレジ袋だと小さいです。 45リットルくらいのポリ袋が適切 |
防臭袋 | 排泄物を密閉し、においを防ぐ。ドラッグストアの介護・ベビー用品や、ゴミ袋売り場にあります |
トイレットペーパーやおしりふき | 携帯トイレに気を取られ忘れがちです。 災害で物流が途絶え、品切れになってしまう可能性もあるので備蓄しましょう。 1人当たり1ロール/週間が消費の目安。3倍巻きなど長巻きのものだと場所をとらず◎ |
新聞紙やペットシート | 凝固剤がない場合、ビニール袋の中にペットシートやちぎった新聞紙を入れて、凝固剤の代わりに |
照明 | 両手が自由になり 空間全体を照らすことが できるものを備えよう。 置き型のランタンや、持ち手をひっかけられるもの、ヘッドライトなど |
ビニール手袋 | 排泄物処理時やそうじの衛生対策 |
排泄物を一時保存する容器 | 臭いが漏れないように ふた付きで密閉できる 保存容器も おむつのゴミ箱や、ホームセンターにもフタつきバケツ・ゴミ箱などあります |
参考:災害用のトイレ どんな種類が?どう使う?(NHK災害列島 命を守る情報サイト)
子どもが嫌がらずに使える工夫
慣れていない非常用トイレ。子どもにとって抵抗があるかもしれません。
子どもが非常用トイレをスムーズに使えるように、練習をしてみましょう。
使うのは、
ポイント
自宅の便座に袋をかける「携帯トイレ」
簡易的な便器に座る「簡易トイレ」
一番良いのは、何ごともない普段の生活のなかで、非常用トイレを経験しておくことです。
防災訓練のひとつとして、家族全員が実際に非常用トイレを使ってみることをおすすめします。
子どもだけに非常用トイレの体験をさせるより、パパもママも座って体験する姿をみて、
安心してチャレンジするようになります。
洋式の便座にビニール袋と凝固剤をセットして使用する携帯トイレは、コンパクトなので多数ストックしておきましょう。
住居に倒壊の危険性がなければ、避難所に行くより在宅避難のほうが安心して過ごせます。
在宅避難に備え、何より最優先でトイレの準備をしましょう。
- 事前に練習する:いざというときに戸惑わないように、遊び感覚で体験。
- お気に入りのシールを貼る:トイレに対する抵抗感をなくす。
- イラストや簡単な説明をつける:使い方をわかりやすく説明。
- 親がリラックスして使う姿を見せる:安心感を与える。
- 和式便器くらいの段ボールなどがあれば、和式トイレに座る練習も
災害時のトイレの衛生管理と感染症対策
避難生活が長引くと、トイレの衛生状態が悪化し、感染症のリスクが高まります。
(1)トイレの衛生管理
- 排泄物はしっかり密封する防臭袋を活用し、においと菌の拡散を防ぐ。直射日光をさけてフタつきのバケツ等入れ物にまとめる
- 手指消毒を徹底する:水を節約するために、アルコール消毒やウェットティッシュを活用する。
- 定期的に清掃する:使った後は除菌スプレーなどで拭く。
- 排泄回数は無理して減らさない:トイレに行きたくない→食事や水分補給を減らす→栄養状態の悪化や脱水症状、エコノミー症候群など健康を害することに。トイレはがまんしない!
参考リンク:災害発生、その時トイレはどうする
(2)避難所生活で健康に過ごすために気をつけること
避難所での生活は心身にさまざまな影響を及ぼします。一人ひとりが自覚を持って健康管理に心がけましょう。
ここでは、トイレ面以外のこともふくめ、感染症予防の注意点を紹介します。
- 水分・塩分補給をこまめに
- 手を清潔に
- 食中毒に注意
- 体の運動
- うがい・歯磨き
- 十分な睡眠・休息
- マスクを着用
- 薬で困っている場合は相談を
(参考:厚生労働省HPより)
① 水分・塩分補給をこまめに
集団生活でトイレに行くことを気にして、水を飲む量が減りがちです。特に夏は、こまめな水分・塩分補給で熱中症予防をしましょう。
② 手を清潔に
食事の前やトイレの後には必ず手洗いをしましょう。水道が使えないときは、アルコールを含んだ手指消毒薬を使用しましょう。
③ 食中毒に注意
配布された食事は季節問わずすぐに食べましょう。下痢、発熱、手指に傷がある人は、調理や配食の手伝いを行わないようにしましょう。
④ 体の運動
エコノミークラス症候群の予防、寝たきりの予防のためにも適度に体を動かしましょう。ストレッチや歩くことも◎
⑤ うがい・歯磨き
うがい、歯磨きをできるだけ行い、かぜの予防、口の中の衛生を保ちましょう。水道が使えない場合も想定して、非常持ち出しリュックには、口内洗浄液や歯磨きシートなどもおすすめ
⑥ 十分な睡眠・休息
被災した今後の生活へ不安を抱く人も多いです。休息や睡眠を意識してとりましょう。
⑦ マスクを着用
咳をしているときや、アレルギーの原因となるほこりを避けるために、必要なときにはマスクを使いましょう。
⑧ 薬で困っている場合は相談を
薬が手元になかったり、薬で困っているときは、医師、薬剤師、保健師などに相談を
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被災経験者の声と事例紹介
実際に被災した方々の声を参考に、非常用トイレの大切さを知りましょう。
- 東日本大震災の被災者の声:「避難所のトイレが汚くて使えず、自宅に戻って使っていた。非常用トイレがあればよかった。」
- 熊本地震の体験談:「子どもが仮設トイレを怖がって使えず、非常用トイレを準備して助かった。」
- 台風被害時の声:「停電で水洗トイレが流れず、簡易トイレがあって本当に助かった。」
東日本大震災3.11のトイレ -現場の声から学ぶ(日本トイレ研究所より)
まとめ
非常用トイレは、災害時の生活を送るために欠かせない備えです。
特に小さな子どもがいる家庭では、使いやすさや衛生面に配慮したものを準備しておくことが重要です。
家族みんなが安心して使える非常用トイレを備え、防災対策を万全にしておきましょう。
(りんごママ)