頻発する自然災害。家庭内で準備しておきたいのが避難(防災)リュックです。非常時にすぐ持ち出せるように避難リュックの準備をし、普段から防災意識を高めておくことが大切です。
一方で、避難リュックは一般的に大人が背負う想定で準備をすることが多いですが、少し体が大きくなり、さまざまなことに興味を持つ小学生の子どもにも、個別に用意する選択もあります。ただし、子どもと大人で必要なものや、もち運べる量は異なります。また、何歳頃から子ども用の避難リュックを準備すればよいのかも悩むところです。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・小学生の防災リュックリスト
・何歳から避難リュックを自分で持たせる?
・災害時の子どものメンタルケア
目次
小学生の避難リュック 中身リスト
小学生に背負ってもらう、避難リュックに入れるグッズリストを具体的にご紹介します。
まず前提として、本記事は
「ランドセルを背負うことに慣れた小学生以上」
かつ
「保護者(大人)と一緒に同じ避難所に避難する」
を想定してご紹介します。
よって、小学生の子どもに持たせる避難リュックにはすべて入りきらず、大人のリュックにも防災グッズを入れて避難する、という状況で進めていきます。
①パーソナルカード(または家族の写真+家族の連絡先を書いたメモ)
②防災用ホイッスル
③ライト
④飲み物
⑤1~2食分の非常食で軽いもの
⑥長期保存のお菓子
⑦遊べるもの
⑧レインコート(上下セパレート)
⑨着替え
⑩ビニール袋
⑪使い捨て不織布マスク
⑫軍手
①パーソナルカード
- 自分の特徴、アレルギー、持病、家族構成、家族の連絡先など、被災時に必要になる情報をまとめたカード のこと。インターネットでカードのテンプレートをDLして手作りできます。
- または家族の写真+家族の連絡先を書いたメモ
パーソナルカード(PDFダウンロード)はこちら
(内閣府防災情報より)
②防災用ホイッスル
- 100円SHOPなどで購入できる中にコルク玉が入っているタイプではなく、防災用がおすすめ
- ネットなどで1000円以内で購入できます
③ライト
- 手から落とさないように手首ストラップがついているライトや、両手があくようにヘッドライトがおすすめです
④飲み物
- 500mlのペットボトル水を1~2本ほど
- 子どもの体力で持てる本数を調節
⑤1~2食分の非常食で軽いもの
- 長期保存パンなど。パウチタイプはかさばらず軽いのでおすすめ
- 持てない分は大人のリュックに入れる
⑥長期保存のお菓子
- 非常時でいつもと違う環境にいるので、お菓子があると少しでも子どもの心ケアに。
- 長期保存のものではなく、いつも食べているものでももちろんOK
⑦おもちゃ
- おりがみ、トランプ、ぬりえ等の音のならないおもちゃ
- 複数人で遊べるものだと、子ども同士の交流とストレスケアにも。
⑧レインコート
- 大雨や台風時に使用
- リュックに入れるのではなく、着用する
- 上下セパレートタイプが着替えやすく動きやすい
⑨着替え
- 濡れたり汚したりすることも想定して2セット
- 小学校高学年でも災害時はなにがあるか分からないので着替えはマストで
⑩ビニール袋
- 普通のビニール袋のほか、防臭タイプもあると◎
⑪使い捨て不織布マスク
- 避難所で使用
- 衛生面でもケア
⑫軍手
- 滑り止めのグリップ付きがおすすめ
おすすめ!小学生用避難リュック 防災グッズ一式セット
【番外編】大人が背負う避難リュックの中身リスト
貴重品類
・パーソナルカード(または家族の写真+家族の連絡先を書いたメモ)
・本人確認書類・保険証のコピー
・現金(公衆電話用に硬貨を多めに)
・母子手帳・お薬手帳等のコピー
安全の確保&情報収集
・防災用ホイッスル
・ライト(懐中電灯やランタンなど)
・モバイルバッテリー(乾電池式がおすすめ)
・充電用ケーブル
・予備の電池(ライト・ラジオ・モバイルバッテリーなど用)
・携帯ラジオ
・イヤホン
・ハザードマップ
・自治体等が出している防災冊子
・メモ帳&油性ペン
飲み物・食べ物
・飲み物(500mlのペットボトル4~5本くらい)
・1-2日分の非常食(アルファ化米、レトルトパウチ、長期保存パンなど)
・食べ慣れたお菓子
・スプーンや箸(使い捨て)
・紙コップ
衛生用品&小物
・暑さ・寒さ対策できるもの(冷却グッズ・防寒シートやカイロなど)
・ガムテープ(もしくは養生テープ)
・めがねやコンタクト
・ビニール袋(大・小)、ジッパー付き袋
・トイレットペーパー(芯を抜いてつぶすと体積を減らせる)
・携帯簡易トイレ(1人7回×2日分×家族分)
・生理用品
・除菌スプレー
・ウエットティッシュ
・使い捨て不織布マスク
・汗拭きシート
・救急用品(ばんそうこう等)
・はさみ
・タオル
・ガム
・安全ピン
・ビニールテープ
・歯磨きシート
着替え&身体を守る
・下着 ・インナー ・靴下 ・アルミブランケット ・寝袋または簡易マット ・アイマスク ・耳栓
何歳から避難リュックを自分で持たせる?
何歳から避難リュックを準備するか、という明確な決まりはありませんが、目安としてはランドセルを自分で背負える小学生になったタイミングが、ひとつの目安です。
小学生になると、自分の荷物を自分のカバンに選んで入れる、整理整頓する、もち運ぶという習慣が生まれます。また、さまざまなことに興味をもつ時期であり、自然災害のことがテレビやニュースで流れているのをみて、認識し始める時期でもあります。避難リュックを一緒につくるのをきかっけに、防災意識を高めることにもつながります。
低学年では持てる量にも限りがあるため、子どもの成長や発達に応じて小学生用の防災リュックを準備すると良いですね。
防災グッズの準備は「3つの段階」で考える
災害直後に緊急で避難する際に、たくさんの防災グッズや備蓄を持ち出すことは難しく、背負える非常用持ち出し袋の中に入れられるものは限られてしまいます。
そこで、災害時に防災グッズや備えを生かすために、家庭で準備するものは、「3段階に分けて」用意しておくという考え方を紹介していきます。
①「0次の備え」いつも常に持ち歩く「防災ポーチ」
日常的に携帯するもので、災害発生直後に命を守り、被災場所から自宅や避難所にたどりつくまで、数時間から一晩過ごすために必要なものです。普段のバッグの中に入れられる大きさのポーチに、お母さんと子どもに必要なものを入れて携帯しましょう。
ポーチの素材は防水性で、できるだけ軽量&コンパクトなものがおすすめです。
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②「1次の備え」1~2日分の「避難リュック」
非常時に避難する際に持ち出す最低限の「避難リュック」で1~2日分を想定した内容です。
基本的な考え方は、「自分が」「自宅から避難所まで」「緊急時に」「持ち出せるか」という点です。もしも旦那さんが仕事や外出中に、大人は自分ひとりで子どもを守りながら避難所まで行けるか?
よくインターネットで「防災 グッズ」と調べると、たくさんの情報が出てきます。リストにあるものをすべて詰め込み、子どもが小学生低学年の場合抱っこする可能性も視野にいれつつ・・・避難場所まで逃げられるか、というのを考えながら、準備することをオススメします。
③「2次の備え」3~7日分の「備蓄」
ライフラインが途絶えたときに必要な3~7日分の「備蓄」のことです。さらに被害が甚大で避難生活が数週間になる場合は、さらに備蓄があると安心です。
具体的には、
自宅に被害があり避難先での生活が長期化した際、自宅の安全を確認したうえで改めて自宅から持ち出す物資
あるいは、
自宅は無事だけど、ライフラインが止まった状況の中で「在宅避難」を続けるために生活に必要な物資
を想定します。
避難所に持って行きたいおもちゃ
避難所生活において、子どもの泣き声や騒ぐ声には親も気持ちがすり減るところです。子どもも思い切り遊べず、なにより災害という怖くて非日常の体験をし、ストレスもたまる一方です。
そんなときに、避難所でもおすすめな子ども向けの遊びやおもちゃをご紹介します。
①おすすめのおもちゃ
- おりがみ
- ぬりえ・おえかき
- トランプ
- シールブック
- ちいさなボードゲーム
- ミニパズル
- ぬいぐるみ
- スマホ・ゲーム
②避難リュックに入れるおもちゃを選ぶポイント
・音がでないもの(イヤホンが使えるなら音ありでもOK)
避難所では寝ている人、高齢の方、ストレスで困っている人などさまざなな人がいます。
また、おもちゃ特有の電子音が苦手な人も。もしゲーム等をどうしても使いたい場合は、イヤホンをして遊びましょう。
・かさばらないもの
1次の備え「避難リュック」に入る量は、限られています。生き延びるために必要な水・食料・衛生用品など、生活必需品を詰めるため、おもちゃでリュックのスペースを大幅にとってしまうことのないように
・充電不要なもの
避難所ではバッテリー残量はとても貴重です。情報集めや、安否確認連絡のためにスマホ充電は最優先で、もしほかにもゲーム等の充電ができるようであれば大丈夫
・複数人で遊べるもの
必須条件ではありませんが、子どもたち同士で遊べると、ストレス緩和につながったり、気もまぎれます。
避難リュックを背負って避難所まで歩いてみよう
避難リュックを作ったらそれでおわり、ではなく、リュックの中身を親子で確認したり、背負って親子一緒に避難場所・避難所まで歩く体験することをおすすめします。
避難所まで歩くときのポイント
- 実際に使う1次持ち出し用リュックを背負う
- 家族と歩く。赤ちゃんは抱っこ紐で、歩いて避難が可能な年齢の子どもは歩いてみる。
- どれくらい時間がかかるか確認。災害時はそこからもっと時間がかかることを予想する。
- 避難場所or避難所までのルートは、頭でイメージした道で本当に安全?
- 小さな川、ブロック塀、植木鉢、低地になってて浸水するかも、地震が来たらこっちの道は通れなくなるかも・・・等
個人的には5月に家族と歩いてみるのをオススメします!
6月は梅雨、7月は台風が多い&猛暑、8月も猛暑、9月10月は台風が多いので・・・
おまけ:わが家の避難所まで探検レポート
状況説明
・パパ
・ママ
・子ども(保育園年中・当時)
避難場所
・地元の小学校の校庭
避難所
・上記の小学校敷地内の体育館
避難場所&避難所までの距離
・大人の足で通常スピードで片道20分ほど
結果
結果は片道30分で到着しました。
- 防災リュックを背負って子どものスピードに合わせながらなので時間がかかった
- 地域的に可能性がある災害は、台風・地震。その影響を受けながら歩くともっと時間がかかりそう
- リュックはもう少し荷物を減らしたい
検討&確認したいこと
・もっと近い「避難場所」が居住地区で設定されてる気がする・・・調べなきゃ!
・防災リュックの軽量化
・現在は赤ちゃんもいるので、抱っこ紐で抱えていく
・災害の種類と規模によっては、万が一パパが不在のときに避難することになったら、ママ1人で子ども2人と避難できるのか・・・?避難or在宅避難を決める基準をパパと話し合っておく。
災害時の子どものメンタルケア
災害を体験した子どもたちのこころは、大人以上に怖い思いや深く傷ついていることがあります。もしものときのために、今から知っておきたいことを紹介します。
①こころの反応
- 一人でいるのが怖い
- 怒ったりイライラする
- 急に興奮状態になる
- 表情に変化が少なくぼーっとしていることが多い
- 無力感・疎外感
②からだの反応
- 発熱・食欲不振・腹痛・吐き気・頭痛など
- 下痢・排泄の失敗・頻尿
- 不眠・夜泣き・怖い夢
- ぜんそくやアトピーなどのアレルギー症状が強まる
③行動の変化
- 落ち着かない、集中力に欠ける
- 赤ちゃん返り、甘えが強くなる
- 泣くことができない
- 怒りっぽくなる
- 大人の気をひく行動をとる
- 大人から離れたがらない
④災害時の子どもの心のケア方法
- 子どもを一人きりにせず、できるだけ子どもと一緒にいる
- 子どもの話をよく聞く
- 無理に話させない
- 抱っこなどのスキンシップを増やす
- 赤ちゃん返りや甘えを受け入れる
- 避難先にお気に入りのおもちゃなどを用意する
- 食事や睡眠などの生活リズムをできるだけ崩さないようにする
参照:「子育て家庭のための防災ハンドブック」(東京法規出版)
まとめ
近年頻発する自然災害。家庭内で準備しておきたいのが避難(防災)リュック。
少し体が大きくなり、さまざまなことに興味を持つ小学生の子どもにも準備することを通して、親子で防災について話すきっかけにもなると良いですね。
(りんごママ)