近年増加している地震や台風・大雨・洪水など、災害時のために防災グッズを備えましょうと呼び掛けられている一方で、まったく準備していない、準備しようと思っているけどなかなか進まない、さらには、そもそも防災グッズは必要ないと思っている人もいるのではないでしょうか。
という方は多いと思います。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・備えない・買わない理由
・防災グッズは必要なのか
・防災初心者がそろえたいもの
防災グッズを備えていない人は●●%
①備えている人の割合
②備えない・買わない理由
③備えている食料の内訳
④備えていない人も、「しなければ」と思っている
①備えている人は4割
近年頻発する自然災害により、家庭で防災グッズを備えているという人は、
ある調査によると全体の4割、準備していない人が6割という結果が出ています。
「十分準備している」という回答はごくわずか(3.0%)であり、
「多少準備している」(37.2%)を合わせても、準備している人は 4 割程度です。
一方で、「準備していない」人のうち、「まったく準備していない」も 2 割を超えて(21.4%)いるのが現状です。
年代別では、「準備している」人の割合は年代が上の人ほど高く、逆に20代は最も低い結果となりました。(※)
(※参照:2024 年 4 月 30 日 農林中央金庫)
全世界で起こったマグニチュード6以上の地震の2割はなんと日本で起こり、全世界の活火山の7%が日本にあるといわれており、さらに梅雨指示から10月ごろまでにかけて、日本中を台風・大雨の被害が発生します。
日本に暮らしていて当たり前のように感じているかもしれませんが、日本は自然災害大国でもあります。
②備えない・買わない理由
これほどまでに自然災害と隣り合わせの日本で暮らしているにもかかわらず、約6割もの人が「防災グッズを備えていない」と回答しています。
なぜでしょうか?
災害に備えた「食料品の備蓄」については、
「備蓄しているが十分ではない」が過半数(55.2%)を占めています。
「備蓄していない」も 4 割近く(37.4%)を占めています。
「備蓄していない」理由としては、
「経済的余裕がないから」(28.4%)
「備蓄する場所がないから」(27.7%)
「何を買っていいかわからないから」(27.3%)
「備蓄品が無駄になるのが嫌だから」(23.3%)
「災害の少ない地域に住んでいるから」(13.1%)などとなっています。
③備えている食料の中身は
「飲料水」(79.4%)が最も多く、
以下
「レトルト食品」(63.4%)、
「缶詰」(58.4%)、
「賞味(消費)期限の長い災害用の非常食」(49.3%)、
「主食(ごはんやパンなど)」(44.1%)、
「菓子類」(38.4%)
また、アンケート(農林中央金庫)によると、「自宅内にある食料品で、家族全員が何日くらい過ごせるか?」という問に対して、
「2~3 日程度」(43.5%)が最も多く、
以下
「4~5 日程度」(20.8%)、
「1 週間程度」(19.0%)などの順で、平均は「5.3 日」
という結果です。
これは、停電や断水などのライフラインが停止した状況下で、主に在宅避難が長期化する際に必要な食料、と考えます。
まず防災初心者の方には、家族分「3日分」の準備を推奨します。
3日分の準備ができたら、少し増やして「5日分」、その次は「1週間分」を理想と考えて、少しずつ食料備蓄を増やしていき、ローリングストックをしながら行うのがおすすめです。
この際、一度に同じようなものを大量に買うと、その結果同じ時期に賞味期限がやってきます。賞味期限に追われて食材を食べるよりも、少しずつ購入していきましょう。
防災グッズには、非常用トイレやカセットコンロ、乾電池のように一度備えたら長期間保存・保管が大丈夫なものもあります。
一方で、ローリングストックは、備蓄している食料を、日常の食事に取り入れて食べたらまたその分買い足す、または、買い足した分だけ食べる、という方法です。
ローリングストックについてはコチラ
また、「3日分といっても、目安の想像がわからない」という人も多いはず。
そんな人は、こちらのサイトで、各家庭の人数・住む環境・特徴を入力し、防災備蓄の目安を知りましょう。
④備えていない人も、「しなければ」と思っている
また、別のアンケートによると(※2)、防災グッズを準備していない人のうち、約6割の人も「用意しなくては」という意識はあることがわかります。一方で、「準備する気持ちがない」という人は約3割いることがわかりました。
用意しない理由は、やはり「何を揃えるべきかわからない」「お金がない」が大きく占めています。
(※2:株式会社エコンテ 防災についての意識調査)
防災グッズは必要なのか
①防災グッズとは
「防災グッズ」と一般的にいいますが、そもそもどういった意味なのでしょうか。
まず、災害発生時などに利用するための製品や道具を意味しています。
ライフライン(水道・電気・ガス)が途絶えてしまったり、道路寸断・物流の混乱・企業の被災等により、食料品や日用品などの供給が絶たれた際に、使用するためのものです。
地震や水害など、自然災害が年間を通して身近にある日本では、いつ、どこで起こるか分かりません。また、「自分の住む地域では地震はほとんど起きたことがないと、祖父母から聞いたことあるから大丈夫」と思っている方も、災害にはしっかりと備えておく必要があります。
いざ災害に直面した場合には、今まで通りの生活が困難になってしまう恐れがあるので、防災グッズはとても大切なものになります。
②防災グッズを買ったから安心、ではない
複数の調査によると、「防災グッズを準備している」人は約4割に留まるという結果がでています。
しかし、購入後は何が入っているかを見たことがない、家族が準備しているけど自分では確認したことがない、などという人もいます。
また、収納棚の奥にしまい込まれていたり、飲料水・食料の賞味期限が切れていた、ということも。
「防災用品」として売られている商品は割高なものが多いのに、もったいないことに。また、防災グッズを購入したら安心して、「わが家は災害に備えている」「これでどうにかなるからきっと大丈夫」という気になってしまう人もいるのではないでしょうか。
どうやって使うの?
どれくらい光る?
電池が必要?
おいしい、食べやすい?
子どもも食べてくれるかしら?
ゴミはどれくらい出る?
これで家族分たりる?
実際に使うことになった時をイメージして、定期的に見直す機会を設けることで、家族の防災意識向上にもつながります。
【必見】防災初心者がそろえたいもの
防災グッズを準備していない理由のひとつに、
「何をそろえたらいいのかわからない」があげられています。
ここでは、防災初心者向けに、防災グッズを準備する際の基本的な考え方と、「非常時持ち出し用リュック」の中身を紹介します。
①防災リュックの基本リスト(ダウンロードできるPDF付き)
「1次の備え」防災リュックの基本リスト(2ページ)(PDFダウンロード&印刷できます)
初心者向け!初めての防災リュックなにから揃える?DL可能PDFリスト付き!
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服装
※災害の種類によって服装を変える
・上着
・軍手(ラバーがついたものが良)
・運動靴(長靴×。底に踏み抜き帽子のインソールが入っていると◎)
・マスク
・傘
・レインコート
・ヘルメット
・ヘッドライト
・防災用の笛
・帽子
・リュックの防水カバー(防水仕様のリュックでない場合)
・抱っこ紐(ベビーカーは×。抱っこ紐で逃げるの推奨です)
<リュックに入れるもの>
貴重品類
・本人確認書類・保険証のコピー
・現金(公衆電話用に硬貨を多めに)
・パーソナルカード(または家族の写真+家族の連絡先を書いたメモ)
・母子手帳のコピー
・健康保険証のコピー
安全の確保&情報収集
・懐中電灯
・モバイルバッテリー(乾電池式がおすすめ)
・充電用ケーブル
・予備の電池(ライト・ラジオ・モバイルバッテリーなど用)
・携帯ラジオ
・イヤホン
・ハザードマップ
・自治体等が出している防災冊子
・メモ帳&油性ペン
飲み物・食べ物
・飲み物(500mlのペットボトル3-4本くらい)
・1-2日分(3~4食分)の非常食(長期保存のパン、栄養バー的な補助食品、ゼリー飲料など)
・食べ慣れたお菓子
・スプーンや箸(使い捨て)
・紙コップ
・皿になる容器(準備した非常食に応じて)
衛生用品&小物
・暑さ・寒さ対策できるもの(冷却グッズ・防寒シートやカイロなど)
・ガムテープ(もしくは養生テープ)
・めがねやコンタクト
・ビニール袋(大・小)、ジッパー付き袋
・トイレットペーパー(芯を抜いてつぶすと体積を減らせる)
・携帯簡易トイレ(1人7回×2日分×家族分)
・消臭タイプのビニール袋(汚物を入れるため)
・生理用品(生理目的だけでなく下着を交換できない場合におりものシートがあると便利)
・除菌スプレー
・ウエットティッシュ
・使い捨て不織布マスク
・汗拭きシート
・救急用品(ばんそうこう等)
・はさみ
・タオル
・ガム
・安全ピン
・ビニールテープ
着替え&身体を守る
・下着
・インナー
・靴下
・アルミブランケット
・寝袋または簡易マット
・アイマスク
・耳栓
・簡易スリッパ
防災リュックに下着は何日分必要?衣類はどうにかなる?子どもと女性用の解説付き
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②防災グッズは「3段階に分けて」準備する
(1)「0次の備え」いつも常に持ち歩く「防災ポーチ」
(2)「1次の備え」非常時に持ち出す「避難リュック」
(3)「2次の備え」1週間の「在宅備蓄」
ひと口に「防災グッズ」と言っても、その中身は様々です。
ここの章では、災害時に防災グッズや備えを生かすために、家庭で準備するものは、「3段階に分けて」用意しておくという考え方を紹介していきます。
(1)「0次の備え」いつも常に持ち歩く「防災ポーチ」 外出中に被災した時の備え (2)「1次の備え」非常時に持ち出す「避難リュック」 避難するときに持ち出し。命を守る最低限の備え (3)「2次の備え」1週間の「在宅備蓄」 被害が長期化したときの備蓄
(1)「0次の備え」いつも常に持ち歩く「防災ポーチ」
0次の備えとは、普段持ち歩くバッグに入れておける防災グッズです。なるべくコンパクトにまとめ、仕事やお買い物の外出先で被災した時に、被災場所から自宅や避難所にたどりつくまで、数時間から一晩過ごすために必要なものです。
出勤用かばん、家族と出かける時のかばん等、バッグを変えてもすぐに入れ替えられるよう、ポーチなどにまとめておきましょう。もしくは、毎回入れ替えるのが大変、という方は、出勤用と休日用のバッグ別に、それぞれの防災ポーチを入れるとよいでしょう。
また、ポーチの形ではありませんが、小さなお子さんの居る方は、外出先でも赤ちゃんのお世話ができるママバッグ・マザーズリュックを持ち歩いていると思います。実はこのママバッグは、充実した「0次の備え」と言えます。
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(2)「1次の備え」非常時に持ち出す「避難リュック」
「防災グッズ」ということでまず頭に思い浮かべるのは、いわゆるこの「非常持出袋」の人が多いと思います。これが「1次の備え」に当たるものです。
災害発生後、緊急時にさっと持ち出して逃げられる、命を守る最低限の備えになります。発生から1~2日を過ごせるようにリュックを準備します。
インターネットで、防災グッズと検索すると、「1次の備え」とこれから説明する「2次の備え」が混合して、避難所等では使うことがほぼないグッズが入っていたり、重すぎてさっと持ち出して逃げるには到底難しいような防災グッズリストや、商品などもあります。
基本的な考え方は、「自分が」「自宅から避難所まで」「緊急時に」「持ち出せるか」という点です。もしも旦那さんが仕事や外出中に、大人は自分ひとりで子どもを守りながら避難所まで行けるか?
リストにあるものをすべて詰め込んで、果たしてそれを背負い、子どもを抱っこひもで抱えながら避難場所まで逃げられるか、という点を考えながら準備することをオススメします。
(3)「2次の備え」1週間の「在宅備蓄」
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「2次の備え」とは、いわゆる「備蓄」です。
ライフラインが途絶えたときに必要な3~7日分の「備蓄」のことです。さらに被害が甚大で避難生活が数週間になる場合は、さらに備蓄があると安心です。
自宅は無事でも、ライフラインが止まった状況の中で「在宅避難」を続けるために生活に必要な物資
あるいは、
自宅に被害があり避難先(避難所や知人宅など)での生活が長期化する際、自宅の安全を確認したうえで改めて自宅から持ち出す物資
と考えます。
しかし、家族分の長期間用の物資となると、かなりのボリュームになります。
自宅に大きな被害がなく、そのまま自宅で過ごす事ができる場合は良いですが、自宅外に持ち出すことも考えて、運び出し用のボックスや空のバッグも用意しましょう
③防災リュックをつくるときの基本的考え方
(1)基本のリストを軸に各家庭でカスタマイズ
(2)1人ひとつ用意する
(3)避難所に1泊2日間避難することを想定した内容
(4)居住地域に起こりえる災害を想定して
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(1)基本のリストを軸に各家庭でカスタマイズ
よくネットで紹介されているリストは、あくまでも「一般的」な物品リストです。
お子さんの年齢、赤ちゃんや高齢者がいる、ペットがいるなどで、各家庭の状況でカスタマイズしましょう。
市販でセットになっている防災リュックもあります。「買って安心」で終わらせず、必ず中身を全部一度出して確認し、自分にあわせて不要なものは抜き、お店やネットで必要な備品を追加しましょう。
(2)1人ひとつ用意する
防災リュックは1人ひとつ用意するのが基本です。
赤ちゃんから幼児、高齢者をのぞき、リュックを背負える人には1つずつ備えておきましょう。
なぜ1人1つの防災リュックを準備するのが良いとされる理由は、以下の通り。
- もしはぐれてしまったときでも融通が利きやすくなる
- 例えばパパが不在中に避難することになった場合、ママ用と子ども用を背負って逃げれば良い。もの別にまとめて2個~3個のリュックに分けると、どれか1個を持ってくることができないと、不便な状況になる。
- 1人が1回・1食に使う分が可視化でき、限られたリュックの容量を無駄にせずパッキングできる
- 小学生以上の子どもにも1つリュックを準備。背負える大きさ・重さのリュックで、立派な戦力に。ただし、いざというときに背負える状況ではなければ命の安全を優先。
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(3)避難所に1泊2日間避難することを想定した内容
防災リュックに、例えば1週間分の荷物を入れて逃げるのは、重すぎて運ぶことができません。前述した通り、防災グッズを準備する際は、状況や目的を明確にして3段階にわけて考えるコツがあります。
これをまずは理解したうえで、防災リュックを準備することが大切です。
そのうえで、1次の備え・避難リュックの基本的な考え方は、
「自分が」「自宅から避難所まで」「緊急時に」「持ち出せるか」という点です。
もしも旦那さんが仕事や外出中に、大人は自分ひとりで子どもを守りながら避難所まで行けるか?という視点を入れましょう。
④居住地域に起こりえる災害を想定して
居住地域のハザードマップを見たことはあるでしょうか。
住んでいる地域では一体どのような災害が起こりやすいのか、またどんな自然災害の歴史があったのか、調べてみましょう。
- 海や川の近くに住んでいる
- 山の近くに住んでいる
- 海抜が低い地域に住んでいる
- 土砂災害が昔あったと言われている地域に住んでいる
- 豪雪の時に道がよく寸断される・・・
起こりえる災害によって、備えるグッズも、家のどこに置くか、どうやって逃げるか、どこに逃げるのかが全く異なります。
ハザードマップや、自治体が出す防災アプリ、またその地域に適した防災グッズのおすすめなどを参考にしましょう。
さらに、大人でも歩くのが大変な道を子どもに歩かせるのは難しく、抱っこやおんぶをすることになるでしょう。そのために、やはり両手があくように、抱っこ紐なども準備しましょう。
浸水被害を想定して、持出袋の保管場所もやや高い位置にしておく、などの対策も必要です。備蓄や貴重品は、家の2階以上に置いておくのも良いでしょう。
まとめ
「防災グッズは高くて、収納場所もないし、なにから準備したらいいかわからない」という方は、ぜひ本記事を読んで、まずは「防災リュック」づくりから始めてみてはいかがでしょうか。
(りんごママ)