実家が遠い方、離れて暮らしている方は、災害発生のニュースを見ると高齢の両親が無事か心配になる人も多いと思います。
「〇〇(地域)の雨すごいみたいだけど、大丈夫?避難指示が出てるけど」と連絡しても
「これくらいたいしたことない」「避難しなくても大丈夫」
と返事がきた経験がある人も多いのではないでしょうか。
本記事では、どうやったら高齢の両親にも災害時に安全に避難してもらえるか、また日頃から少しでも防災について考えてもらえるよう、防災対策のヒントをご紹介します。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・高齢の両親と防災について話すきっかけの作り方
・両親本人たちと実家の防災対策をする方法
・災害時に安全に避難できるようにするための準備
目次
離れて暮らす高齢両親の防災対策 10個のヒント
離れて暮らす高齢の両親が心配!実家の防災対策10選
1.日頃から連絡手段を複数つくっておく
2.実家の片付けを手伝いながら防災の話を
3.地域で起きた災害の歴史についてふれる
4.防災グッズをプレゼントする
5.ハザードマップや避難所・福祉避難所
6.防災アプリを親のスマホに入れる
7.自分の兄弟と、親の防災対策について話す
8.地域の防災訓練に参加することを提案する
9.防災を押し付けないように注意する
10.きつく言わない・同調する
高齢の両親が心配、といいつつも、仕事や育児、家のこともあってなかなかすぐには実家に帰ることはできないのが現実。
同じ県内に住んでいたとしても、災害時に実際に一緒にいて避難に同行できるわけでもないし、実家の家具家電の物理的な防災対策も、両親の同意なしに勝手に動かすこともできませんよね。
実家が遠方ならなおさらです。年に数回、さらに数年に1回しか帰省できない人にとっては、より難しい話です。
この10個の防災ヒントをひとつずつ考えていきましょう。
1.日頃から連絡手段を複数つくっておく
固定電話や携帯電話のほかに、比較的つながりやすいLINEや、その他メッセンジャーアプリを入れておきましょう。
過去の大規模災害時には、固定電話や携帯電話が混雑して使えなくなった事例が多数報告され問題視されています。
いつも携帯電話や固定電話で連絡をとっている方は、LINEアプリやメッセンジャーアプリを入れておき、もしも災害時に通話はできなくても、メッセージのやり取りができるように、普段から家族のコミュニケーションツールとして慣れておきましょう。
2.実家の片付けを手伝いながら防災の話を
高齢になってくると、ものを動かすことも一苦労。ついつい高く積み上げて置きっぱなしになっているものや、ちょっとした段差にも躓きそうになっていて実は危なかったり。
「なにか手伝えることあったらやっとくよ」「普段できない箇所の片づけ、せっかくだからやろうか」と声をかけて、家具の掃除や片付けをしながら、さりげなく防災の話もしてみると良いです。
両親の気持ちを尊重しつつ「ここのタンス、倒れてきたら危ないから、固定しておこうか?」と、高いところに登って家具の固定をしてみるのもひとつ。
また、人間が一番無防備になる瞬間は「寝ているとき」と言われています。
「寝室の入口付近に家具置くとふさがっちゃうから、せめて向き変えようか?」などと、家の中の危ないところを一緒に対策してみましょう。
寝室に置く防災グッズ6選!家族を守る寝室の防災対策
続きを見る
3.地域で起きた災害の歴史について会話でふれる
自分より長く地元で暮らす両親は、地域の過去の災害についてよく知ってるはず。
まずは自分で、地元には過去にどのような災害の歴史があったのかを調べてみましょう。地域のことを知るきっかけにもなります。
両親との会話のなかで、「そいえばこの辺は、昔〇〇があったって見たことあるよ」とさりげなく切り出して、もしも親が詳しく知っていたら災害の話のきっかけに。
そこから、実家の防災対策の話に少しずつ触れてみましょう。
4.防災グッズをプレゼントする
父の日母の日、誕生日、敬老の日…
いつものプレゼントから、少し変化球で防災グッズをプレゼントするのもどうでしょうか。自分たちではなかなか買うことがなさそうなものや、高齢者向けの防災グッズも。
1.単品でプレゼントしたいという場合
・非常用トイレ
・保存水
・非常食のセット
災害発生後、なにより確保したいのがトイレ環境です。トイレを我慢することで、体調不良の原因にもつながります。
一般的に人間は1日7~8回トイレをすると言われていますが、高齢者の場合はもう少し多めに。トイレを再び使えるようになるまで3~7日間かかると言われています。そのため、10回×両親2人×7日分=140回分ほどの回数が入っているセットがおすすめです。
また、足腰のことも考えて、このような簡易便座つきのトイレもあります。
2.高齢者向けの防災セットをまるごとプレゼント
高齢者向けの防災セットを選ぶ際に気を付けることがあります。
・キャリー付きで運びやすく、時にはリュックにもなること
・かばんの中に、両親本人に必要な高齢者用のグッズを追加で入れられること
高齢者の方が選ぶべき防災セットは「キャリー付きで転がせること」がポイントです。いくら高機能な防災リュックを用意しても、重くて背負えない可能性があります。また、今は元気だから背負う自信がある両親でも、年々体力が衰え身体も痛いところが出てくることをふまえて、「運べる」ことがポイントです。
「LAPITA(ラピタ)」の『ものすごい防災セットプレミアム』
3.贈られた人が自分で好きなものを選べる、防災グッズのカタログ
日常生活に調和する防災グッズを集めたカタログギフト「LIFEGIFT」や、
美味しくて備蓄可能な食品を集めたカタログギフト「LIFEGIFT Food」の2種類があります。
5.高齢者が避難するタイミング、ハザードマップや避難所・福祉避難所を調べて伝える
災害時に自治体から発表される避難情報が、2021年(令和3年)5月20日から変わったことは知ってますか?
高齢者が避難するタイミングは「レベル3」の「高齢者等避難」です。
妊婦さんや小さな子どもがいる家族、そして高齢者の方は避難に時間がかかります。そのため警戒レベル3「高齢者等避難」のタイミングで避難が必要です。
警戒レベル3になってから慌てて準備をするのではなく、警戒レベル1〜2の時点、または天気予報で数日後に大雨が降りそうと予想できるときは、いつでも避難できるように予めの準備、もしくは早めの避難をしておくと、安全な避難に繋がります。
また、「ハザードマップを見たことがない」「高齢者がいつ避難するのかタイミングがわからない」という方は多いかと思います。
もしも両親がハザードマップを持っていないようであれば、居住の市役所等でもらうことができます。スマホやPCを使い慣れていない場合、デジタルより紙版のほうが見やすいかもしれません。
いくつか避難所の候補と、高齢者などが避難できる福祉避難所の場所を調べて、「そういえばこの辺だと避難所ってどこいくのか知ってる?」とさりげなく切り出してみましょう
もしも「いつも、たいしたことないまま過ぎていくから、避難しなくても大丈夫」「みんな避難しないだろうし、自分たちだけ避難することになったら嫌だし」「家にいるほうが安心」という様子でも、「たとえ空振り避難になっても、なにより命が大事だから警報がでたら避難するようにしてほしい」と、心配している気持ちも添えて伝えるようにしましょう。
6.防災アプリを親のスマホに入れて一緒に使ってみる
使わないことが一番ですが、いざという時のために親からスマホを借りて、防災アプリをいれてあげましょう。もちろん本人の同意のもと。
メジャーなアプリは
アプリを入れるだけではなく、一緒に基本的な操作を確認しておきましょう。
また、地域を複数登録することができるので、これを読んでいるあなた(子)は「自分が住む地域」「自分の実家」「配偶者の実家」などを登録しておくことができます。実家の防災情報がでたときにも、遠方からも確認することができます。
7.自分のきょうだいと、親の防災対策について話す
あなたに兄弟姉妹がいる場合は、自分ひとりで両親と話を進めずに、きょうだいとも話して情報共有したり、役割分担したりしましょう。いざという時にきょうだいたちで親を守れるように。
またきょうだいによって、親の性格やクセの捉え方もそれぞれですし、別の人から話をしてもらったほうが、防災について聞く耳をもってくれることも。
8.地域の防災訓練に参加することを提案する
地域で開催されている防災訓練。
ですがどこか他人事で、一度も参加したことがない人も多いのではないでしょうか。もし両親が参加したことがなければ、参加を促したり、タイミングがあえば一緒に参加するのもひとつです。訓練に参加すると、こういったつながりから、いざという時は近所の方と一緒に避難をしてもらえるきっかけの一歩にもなります。
もしも災害時に両親だけで避難するのは難しい場合は、地域の人たちの手を借りて避難する必要があります。
このように避難に支援が必要な、高齢者や障がい者の方たちが避難する方法などを事前に決める「個別避難計画」の作成が、令和3年から各市町村の努力義務となりました。この計画は、避難先や避難経路、手助けしてくれる人などを決めておくものです。計画を作成してもらうには、両親が避難に支援が必要な人として、自治体がつくる「避難行動要支援者名簿」に載っていることが必要になります。
この個別避難計画は、①避難行動要支援者に関する情報(氏名、住所、生年月日、性別、連絡先、避難支援等を必要とする事由)、②支援者に関する情報、③避難先や避難経路に関する情報などを書きます。
もしも両親だけで避難するのは難しいという方は、両親本人と話し合い、自治体に問い合わせてみましょう。
【参照】
NHK/防災・復興明日をまもるナビ「個別避難計画 高齢者・障害者を助けるために」
内閣府/防災情報のページ 令和5年度「個別避難計画の取組の現状について」
9.防災を押し付けないように注意する
離れて暮らす家族が心配なあまり、つい正論を押し付けたくなります。人は押し付けられると、やりたくなくなるものです。さらに、親は子から指図されたような気持ちになると、行動したくなくなるもの。ハードルの低いものから、少しずつ取り入れてみましょう。
10.きつく言わない、同調する
高齢の両親は「そんなにやらなくても大丈夫」「どうせこの辺りは、いつもなにもないから平気」と言うかもしれません。つい心配できつい口調になってしまいそうなときは、親の話をさえぎらずに同調し、すぐに無理には変えたり取り組んだりしないこともひとつ。
まとめ
実家が遠い方、離れて暮らしている方は、災害発生のニュースを見ると高齢の両親が無事か心配になる人も多いと思います。
日頃から少しずつ、高齢の両親と防災や安全対策について話し合ってみましょう。
まずは、家族の様子をみながら、できることから1つずつ始めてみましょう。
(りんごママ)